お知らせ



◆◇ お知らせ 

2019/07/31

今月の言葉-8月

空が青いから白をえらんだのです

「ぼくのおかあさんは、今年で七回忌です」

胸がひやりとした。

どもりながらつっかえながらのDくんの話しの要旨はこうだ。

「お母さんは、体が弱かった。けれども、おとうさんは

いつも、おかあさんを殴っていました。

ぼくは、まだ小さかったから、

おかあさんを守ってあげることができませんでした。

おかあさんは亡くなる前に、病院でぼくにこう言ってくれました。

{つらくなったら、空を見てね。

わたしはきっと、そこにいるから}

ぼくは、おかあさんのことを思って、

おかあさんの気持ちになって、この詩を書きました」

胸がいっぱいになって、

涙を堪える(こらえる)のがやっとだった。

たった一行の詩の向こう側に、こんな物語があったなんて。


寮 美千子 「あふれでたのはやさしさだった」 より
              西日本出版社 刊